
大切なデータを守るためにバックアップが重要であることは分かっていても、毎回やるのは面倒ですし、ついつい忘れがちですよね。できることなら自動的にバックアップされる方法があれば良いのにとお思いではないでしょうか。
端末が壊れても買い替えれば良いかも知れませんが、大切なデータを失うと代わりがありません。そこで最初に設定をしておくだけで以後はバックアップを意識することなく自動的に保存されていく「自動バックアップ」の方法を、Windows、Mac、Android、iPhoneそれぞれで解説します。
また、全デバイス共通で使える自動バックアップ方法としてさらに便利なオンラインストレージサービスの解説もしていますので、ぜひ最後までお読みください。
1.自動バックアップの必要性
・1-1.なぜ、自動バックアップなのか
・1-2.自動バックアップの基本的な仕組み
・1-3.何をバックアップするのか
・1-4.どこにバックアップするのか
2.[Windows]自動バックアップ方法
・2-1.Windowsの設定や状態を丸ごとバックアップする「復元ポイント」
・2-2.フリーソフト「BunBackup」
3.[Mac]自動バックアップ方法
・3-1.Macの設定や状態を丸ごとバックアップする「TimeMachine」
・3-2.フリーソフト「iBackup」
4.[Android]自動バックアップ方法
・4-1.Android端末にはGoogleの自動バックアップ機能がある
・4-2.Googleアカウントを使った自動バックアップの設定手順
5.[iPhone]自動バックアップ方法
・5-1.iCloudのバックアップ機能にできること
・5-2.iCloudの自動バックアップ機能設定手順
・5-3.iCloudを使った自動バックアップの注意点
6.[全デバイス共通]オンライン上に自動バックアップする方法
・6-1.バックアップファイルを失うリスク
・6-2.オンライン上にファイルを自動バックアップできる
・6-3.オンラインストレージに自動バックアップするメリット
・6-4.オンラインストレージを利用した自動バックアップ方法
7.まとめ
1.自動バックアップの必要性
1-1.なぜ、自動バックアップなのか
大切なファイルを失わないために、バックアップは最も有効な予防策です。しかし、手作業によるバックアップはどうしても忘れがちで、面倒に感じてしまうとその頻度も少なくなってしまうでしょう。
こうした事情を踏まえると、新しいデータも常に保持できるようバックアップは自動化しておくのが望ましいと言えます。
1-2.自動バックアップの基本的な仕組み
自動バックアップは、あらかじめ設定しておくとその設定通りのタイミングで定期的に行われる仕組みになっています。
WindowsやMac OSなどパソコンのOS(基本ソフト)が行っている自動バックアップは、OSの設定情報やインストールされているソフトなどが丸ごと自動的に保存され、何かトラブルがあった時には時間をさかのぼる形でトラブルが起きる前の状態に戻せるようになっています。
下の画像はWindows10の「システムの復元」ウインドウを開いた様子です。自動的に復元ポイントと呼ばれるバックアップファイルが作成され、その時点に戻ることができるようになっています。もうひとつの「Windows Update」という復元ポイントは、Windows10のアップデートをした際に万が一何か不具合が起きたらその前に戻ることができるよう自動生成されたものです。
1-3.何をバックアップするのか
バックアップの対象となるデータは、大きく分けて2種類あります。1つは前項で解説したようにOSを復元するためのデータ、もう1つは仕事やプライベートで使っているファイル群です。
この2種類のデータをバックアップしていれば、ハードディスクやSSDなどのクラッシュが起きてしまった場合、ランサムウェアによって暗号化されてしまった場合、誤操作によって削除や上書きをしてしまった場合などでも元に戻すことができるので安心です。
【ランサムウェアとは】
身代金要求型マルウェアとも言われ、感染するとパソコンやスマートフォンをロックし、多くの場合ファイルが勝手に暗号化されてしまい、その解除に金銭を要求するというマルウェアです。パソコンやスマートフォン、またその中にあるデータを人質に取られて身代金を要求されますが、仮にその身代金を支払っても解読される保証はないという悪質な手口です。
ランサムウェア対策としても、重要なデータはバックアップしておくことが有効です。
1-4.どこにバックアップするのか
ファイルを保存するメディアは多様化しているので、大切なファイルをどこにバックアップしておくべきかについては、いくつかの選択肢があります。
手動でバックアップする場合はDVD-Rやブルーレイディスクなどの光学メディアに焼いておくのが確実でしょう。ただし光学メディアの場合は「焼く」という作業を伴うので自動バックアップとなると難しいかも知れません。その場合は読み書きが自由な外付けハードディスクなどが考えられます。
絶対に失いたくないデータであれば、外付けハードディスクとDVD-Rといったように、取り扱いの異なるメディアにそれぞれバックアップをしておくとより安全です。
2.[Windows]自動バックアップ方法
2-1.Windowsの設定や状態を丸ごとバックアップする「復元ポイント」
Windowsには、OSの状態を丸ごとバックアップする復元ポイントという機能があります。あらかじめ設定しておけば定期的に自動バックアップが行われ、何か問題が起きた際にその復元ポイントが保存された時点にまで時間を戻すことができます。
2-1-1.復元ポイントで自動バックアップを設定する
ここではWindows10での復元ポイントについて解説しますが、基本的な考え方や操作方法は他のバージョンでも同様です。
コントロールパネルから「システムとセキュリティ」を開き、次に「セキュリティとメンテナンス」を開いた上で右下の「回復」をクリックします。
次に表示されたメニューの中で「システム復元の構成」をクリックして、以下のウインドウを開きます。
「構成」ボタンをクリックすると、復元ポイントを自動的に作成するかどうかの設定画面になります。
ここで「システムの保護を有効にする」を選択してOKをクリックしておくと、以後は自動バックアップが設定された状態になります。
2-1-2.復元ポイントでバックアップデータを復元する
コントロールパネルから「システムとセキュリティ」を開き、次に「セキュリティとメンテナンス」を開くと以下のウインドウになります。
右下にある「回復」を開くと、どの復元ポイントにさかのぼるかを選択する画面になります。
ここで任意の復元ポイントを選び、「次へ」をクリックして画面の指示に従って操作を進めていくと、Windowsをその復元ポイントが保存された時点に戻すことができます。
2-2.フリーソフト「BunBackup」
出典:BunBackup
2-2-1.「BunBackup」にできること
Windows各バージョンで利用できる「BunBackup」は、自動バックアップ機能がついたフリーソフトです。バックアップをしたいフォルダと、バックアップ先の保存場所を指定するだけで手動、自動どちらでもバックアップができるのでとても便利です。
2-2-2.「BunBackup」のインストールと基本的な使い方
「BunBackup」をインストールして、バックアップルールを作成して自動バックアップを有効にしておくだけなので、操作はとても簡単です。
メニューボタンの「+」記号になっているアイコンをクリックして新規にバックアップルールを追加します。
次に、設定メニューにある「環境設定」を開いて「自動バックアップする」にチェックを入れておきます。バックアップの間隔は最初1日間隔になっているので、変更したい場合は任意の間隔に変更してOKをクリックします。
3.[Mac]自動バックアップ方法
3-1.Macの設定や状態を丸ごとバックアップする「TimeMachine」
Mac OSには、「TimeMachine」というバックアップ機能が標準装備されています。タイムマシンという名前の通り、あらかじめ保存されているバックアップデータを使ってMacの状態を最長で1ヶ月前まで戻すことができます。
3-1-1.TimeMachineで自動バックアップを設定する
「TimeMachine」機能を利用するには、バックアップ先となる保存場所が必要です。外付けハードディスクが基本となるので、Mac OSの自動バックアップを行う際にはご用意ください。
外付けドライブを接続すると、そのドライブをバックアップ先として使用するかどうかを尋ねてくることがあります。その場合は「バックアップディスクとして使用」をクリックすれば設定完了です。
このメッセージが出ない場合は、メニューバーの「TimeMachineメニュー」を開き、環境設定で機能を有効にします。
Apple社のサイトにも公式の解説があります。
3-1-2.TimeMachineでバックアップデータを復元する
「TimeMachine」で自動バックアップされたデータを使ってファイルを復元するには、「TimeMachineメニュー」から「TimeMachineに入る」を開き、そこから復元したいファイルを選択します。
こちらもApple社のサイトに解説があります。
3-2.フリーソフト「iBackup」
3-2-1.「iBackup」にできること
「iBackup」は、フリーで利用できるMac用のバックアップソフトです。特定のフォルダを設定しておくと初回にフルバックアップをして、以後は差分バックアップを行うため高速です。また、自動バックアップを設定しておくと2回目以降のバックアップを自動化することもできます。
3-2-2.「iBackup」のインストールと基本的な使い方
「iBackup」をインストールして、「プロファイル」から新規にバックアップルールを設定します。設定項目はバックアップ対象のフォルダと、保存先です。設定時にチェックを入れていって必要なフォルダだけをバックアップ対象にすることができます。
自動バックアップを設定する場合は、「自動化」をクリックして有効にしておきます。
4.[Android]自動バックアップ方法
4-1.Android端末にはGoogleの自動バックアップ機能がある
Androidを開発したGoogleの各種サービスを利用するにあたって、共通のGoogleアカウントがあります。このGoogleアカウントには同期機能があるので、この機能を使うと自動バックアップに活用することができます。
スマホに保存されているファイルの中で失いたくないものと言えば内蔵カメラを使って撮影した写真などですが、これも「Googleフォト」というアプリによって自動バックアップすることができます。
その他、Wi-Fi接続用のパスワードや各種アプリで使用しているデータなどもGoogleアカウントで自動バックアップすることもできます。
4-2.Googleアカウントを使った自動バックアップの設定手順
携帯カメラで撮影、またはLINEなどで受信した写真や動画などをスマホ本体に保存すると「Googleフォト」というアプリが自動的にGoogleアカウントに保存しています。多くの場合購入時の設定で有効になっていますが、設定の確認は以下の手順で行います。
「Googleフォト」アプリを開き、左上にある三本線アイコンをタップします。その中から「設定」をタップ、次の画面で「バックアップと同期」をタップします。
この画面の「バックアップと同期」をオンにしておくと自動バックアップが有効になり、さらに下にある「端末のフォルダごとのバックアップ」をタップすると携帯カメラで撮影した写真や動画だけでなく、任意のフォルダに新しく保存されたファイルが自動バックアップされるようになります。
Wi-Fiパスワードや各種アプリのデータを自動バックアップするには、設定を開いた上で「バックアップとリセット」をタップ、「私のデータをバックアップ」をオンにします。
5.[iPhone]自動バックアップ方法
5-1.iCloudのバックアップ機能にできること
iPhone本体で使用しているさまざまなデータを自動バックアップするには、iCloudがとても便利です。クラウドサービスなので本体の故障や紛失という事態になってもデータが失われることがなく、Apple社が公式に提供しているサービスなのでぜひとも有効にしておきたい機能です。
自動バックアップされるデータは、写真や動画をはじめアプリや本体の各種設定などです。これだけの情報があれば本体を買い替えても旧端末の環境を復元できるので、端末の移行にも役立ちます。
5-2.iCloudの自動バックアップ機能設定手順
iPhoneをWi-Fiで接続した状態で「設定」メニューにある「iCloud」をタップ、Apple IDでログインします。
次に表示されたメニューにある「バックアップ」をタップして、スイッチがオフになっている場合はそれをオンにします。すでにオンになっている場合は有効になっているので設定を変更する必要はありません。
5-3.iCloudを使った自動バックアップの注意点
iCloudを使った自動バックアップは無料で利用できるので使わない手はないほど魅力的なのですが、いくつか注意点があります。
Wi-Fi接続時にしか自動バックアップが行われないこと、無料の場合は使用できる容量が5GBまでというのは特に意識しておきたい点です。最近のスマホ利用では動画を撮影することも多いと思いますが、それだとすぐに5GBの容量を使い切ってしまうかも知れません。
その場合は有償で追加の容量を購入することもできます。
6.[全デバイス共通]オンライン上に自動バックアップする方法
6-1.バックアップファイルを失うリスク
自動バックアップによって大切なファイルを守る万全の体制を敷いていたとしても、そのバックアップ先のデータが失われてしまうリスクまではゼロになりません。
外付けハードディスクの故障や盗難、紛失などといったリスク、DVD-Rなどに焼いていたとしてもメディア自体の寿命や火災のリスクなど、挙げるとキリがありません。
こうしたリスクは、バックアップデータを同じ場所で保管していることによって生じるものです。
そこで、バックアップデータを同じ場所ではなくオンライン上に保存する方法を提案したいと思います。その保存先として考えられるのは、オンラインストレージサービスです。
6-2.オンライン上にファイルを自動バックアップできる
オンラインストレージサービスとは、ネット接続されたサーバーに自分専用のデータ保存スペースを確保した上で、そこに重要なデータを保管できるサービスです。
大手サービスとしてはDropbox、Google Drive、Microsoft OneDriveなどが挙げられます。いずれも一定の容量までであれば無料で利用可能。それぞれ無料で利用できる容量はDropboxが2GB、Google Driveが15GB、Microsoft OneDriveが5GBとなっています。
⇒ Dropbox
6-3.オンラインストレージに自動バックアップするメリット
オンラインストレージサービスを自動バックアップに使うメリットはとても多く、おすすめする理由は以下の通りです。
【自動バックアップにオンラインストレージサービスをおすすめする理由】
- 自動同期機能があるのでバックアップを意識することなく常に最新のファイルがバックアップされる。
- サービスとして運用しているのでメンテナンスが充実しており、サービスが継続している限りは保存先の寿命がない。
- 自宅やオフィスとは全く別のところに保存するので、火災などで端末を失ってもデータは守られる。
- 以前の状態に戻せる履歴機能があるので、間違って上書きをしてしまっても復元できる。
- 履歴機能を利用すればランサムウェアにファイルを暗号化されても前の状態に戻せる(※注)。
(※注)オンラインストレージの自動同期機能が有効になっていると、ランサムウェアにファイルを暗号化された場合にサーバー上のバックアップデータも同期してしまい暗号化されたものに更新されます。
そのファイルを元に戻すにはオンラインストレージサービスの履歴機能が有効ですが、さかのぼれる期間はDropboxが30日まで、Google Driveが25日までです。Microsoft OneDriveは30日ですが、ごみ箱がいっぱいになると3日経過した後に古いものから順に削除されていきます。
つまり、ランサムウェア被害を含む何らかの事情でファイルの復元が必要になったらこの期間内に行う必要があります。(2016年7月時点の情報です)
6-4.オンラインストレージを利用した自動バックアップ方法
ここでは主要なオンラインストレージサービスであるDropbox、Google Drive、Microsoft OneDriveを使った自動バックアップ方法を解説します。
6-4-1.専用アプリケーションのインストール
オンラインストレージサービスの自動バックアップに利用するには、それぞれの専用アプリケーションをインストールする必要があります。
このアプリをインストールすると作成される専用フォルダに保存したファイルが、そのまま自動的にオンライン上にもアップロードされる仕組みになっています。以後はそのファイルを更新するとオンライン上のファイルも更新され、自動バックアップされた状態になります。
それぞれの専用アプリケーションは、こちらからインストールしてください。
6-4-2.無料アカウントの作成
アプリケーションのインストールを完了すると、初期画面でアカウントの作成を行います。
・Dropboxの場合
左下にある「登録」をクリックして手続きをしてください。メールアドレスと任意のパスワードを入力して送信、そのメールアドレスに届いた確認メールの中にあるリンクにアクセスするだけで完了します。
・Google Driveの場合
以下の画面でGoogleアカウントの作成を行いますが、すでに他のGoogleサービスを利用していてGoogleアカウントを持っている場合は、その情報でログインできます。
・Microsoft OneDriveの場合
Windows系のOSではMicrosoftアカウントをお持ちである可能性が高く、その場合はMicrosoftアカウントでログインできます。それ以外のOSで利用する場合は、使用中のメールアドレスを入力して次の画面からアカウント作成に進んでください。
6-4-3.ファイルを同期(自動バックアップ)する
作成したアカウントでアプリにログインしたら、後は自動的に作成されたそれぞれのオンラインストレージの名称がついた専用の同期フォルダに重要なファイルを保存するだけです。特に何かバックアップの操作をする必要はなく、全て自動的にバックアップされます。
7.まとめ
パソコンやスマホを使う機会が増えれば増えるほどそこで利用しているデータの重要度は高まり、データを失うことのダメージも大きくなります。しかし、どれだけバックアップの重要性を理解していても忘れてしまうのが人間です。しかもそんな時に限ってデータを失うような事態が起きてしまうもので、「ちゃんとバックアップしていれば…」と後悔しても後の祭りです。
そこで、この記事では最初に設定をしておくだけで後は自動的にバックアップされる方法をデバイス別に解説してきました。お使いのデバイスでちょっとしたソフトのインストールや手続きをするだけで大きな安心が手に入るので、大切なデータを守るためにぜひ設定をしておいてください。