
ある日突然、Windowsが何かしらの不具合で起動しなくなってしまったら?こういった事態に備えるのが、日頃から行うバックアップです。
バックアップは、ファイルやフォルダ単位で行うものと、パソコンのWindowsやアプリが入ったドライブ丸ごと(システムイメージ)をバックアップする方法(ここではシステムイメージをバックアップすることを「システムバックアップ」とします)があります。
ファイルやフォルダのバックアップをしておくことで、デジカメで撮影した写真や自分で作成したドキュメントなどを復旧することができ、システムバックアップを実施しておくことで、万一パソコンが壊れてもWindowsの設定など含め、バックアップした時点の状態に戻すことができます。ここでは個人用途向けに、バックアップについて説明します。
1.バックアップの種類
1-1.ドライブ丸ごと(システムイメージ)をバックアップする
1-2.ファイル・フォルダ単位でバックアップする
2.バックアップデータの保存先
2-1.外付けハードディスク
2-2.光学ディスク
2-3.フラッシュメモリ
2-4.クラウドストレージサービス
3.システムバックアップの方法
3-1.OS標準の機能を使う
3-1-1.Windows 8および8.1の場合
3-1-2.Windows 7の場合
3-2.Macの場合
3-3.バックアップソフトを使う
4.最後に
1.バックアップの種類
データの保存や復元を目的に、パソコンに記録されているデータを複製することを「バックアップ」といいます。バックアップには、目的に合わせて複数の種類があり、Windowsが動作するドライブのデータ丸ごとをシステムイメージとして保存するものと、ファイルやフォルダ単位で保存するものに大きく分けることができます。
1-1.ドライブ丸ごと(システムイメージ)をバックアップする
万一パソコンが壊れて起動不能になってしまった場合、またアプリや設定など含め以前と全く同じ状態にパソコンの状態を戻したい場合、データやフォルダ単位のバックアップではなく、Windowsなどシステムを含んだドライブ丸ごとをシステムイメージとしてバックアップする必要があります。
システムバックアップを行っておくことで、故障などによってハードディスクが読み込めなくなった場合でも、システムイメージからバックアップされた時点のパソコン環境を復元することができます。システムイメージは、DVDなどの光学ディスクや、ハードディスクなどに保存することができます。
なお、システムバックアップをする際にシステムにウイルスが紛れ込んでいた場合、そのウイルスもバックアップしてしまい、復元操作を行うとウイルスも復元されてしまいます。システムバックアップをする前には、セキュリティ対策ソフトの検出状況をチェックしておきましょう。
可能であれば、ソフトウェアのインストールや周辺機器の接続、セキュリティアップデートの適用など、システムに変更が加えられたタイミングごとにバックアップを作成しておくと万全です。
1-2.ファイル・フォルダ単位でバックアップする
システムバックアップに対し、主に自分で作成したファイルや、デジカメで撮影した写真といったデータを個別にコピーしておくバックアップもあります。このようなファイルは、消えてしまったら二度と取り戻すことができないからです。
具体的には、Windowsでは「マイドキュメント」「マイピクチャ」などのフォルダを、外付けハードディスクや光学ディスク、USBメモリなどに保存します。最近ではクラウドストレージを活用するケースも増えています。
ファイル・フォルダのバックアップは、新しいファイルを作成したときや、ファイルに変更を加えたときなどのタイミングで、こまめにバックアップしましょう。
2.バックアップデータの保存先
バックアップしたデータの保存先は、当然ながらバックアップしたパソコン以外の場所になります。その際には、外付けハードディスク、光学ディスク、USBメモリ、クラウドストレージサービスといった場所があります。それぞれの特長やメリット、デメリットをみていきましょう。大切なデータは、複数のバックアップを取っておくと、より確実です。
2-1.外付けハードディスク
現在のところ、最も容量があってコストパフォーマンスも高い記憶媒体はハードディスクといえます。テラバイト級の容量を持つものでも購入しやすい価格帯になってきました。内蔵タイプはより低価格ですが、増設するにはパソコンを分解する必要があるため、パソコンを自作できる知識のない方には、あまりおすすめできません。内蔵タイプより高価でも、USBの外付けタイプの方が使い勝手も優れています。
コスト以外にも、ハードディスクはデータの書き込み・読み出しが比較的高速なため、大容量のデータも短時間でコピーできるというメリットがあります。また、システムバックアップとファイル・フォルダ単位のバックアップの両方に使用でき、操作も簡単です。
2-2.光学ディスク
DVDやブルーレイといった光学ディスクも、バックアップに適しています。一般的なパソコンには光学ディスク用のドライブが搭載されていますので、非常に安価な空きディスクを購入するだけでバックアップの準備ができます。
ただし光学ディスクにはDVD、ブルーレイ、CDなどの種類のほかに、一度しか書き込めない「-R」「+R」、何回でも消去して書き込める「-RW」「+RW」などがあるので、使っているパソコンの光学ドライブがどのディスクに対応しているのかを確認しておきましょう。
また、データを書き込む際には、ディスクの種類やフォーマットにもよりますが、専用の書き込みソフトを使用しなくてはならないことが多く、手順も多く書き込みに時間がかかるというデメリットもあります。さらに、光学ディスクは傷が付くとデータを読み出せなくなることがあり、保管には注意が必要です。寿命も10年ほどといわれています。システムバックアップよりもファイル・フォルダ単位のバックアップに適しているといえます。
2-3.フラッシュメモリ
USBメモリやSDカードなどの記憶媒体をフラッシュメモリといいます。フラッシュメモリは本体のサイズが小さいことと、パソコンに簡単に接続できることが特長であり、メリットといえます。価格面においても、安価な製品が多く販売されています。ただし、容量はハードディスクと比べると小さいため、システムバックアップすることには適していません。起動ディスクとして使用する際にも複数の条件があるため、現実的ではありません。
2-4.クラウドストレージサービス
バックアップデータの保管場所として、最近有力になってきたのがクラウドストレージサービスです。クラウド上にデータを保存するサービスのため、自分でディスクなどの保存先を用意する必要がなく、データはサービス側がしっかりと守ってくれます。
ほかにも、無料でも2GB以上の容量を利用できることや、有料でも月額1200円で容量が無制限になるコースもあるため、コストの面でもメリットが大きいといえます。また、マイクロソフトが提供する「OneDrive」では、Windowsパソコンの設定情報をクラウド上に保存できるので、パソコンを買い換えたときや初期化したときの設定を簡略化できます。
デメリットは、無料サービスを利用するときは容量に注意が必要であることと、インターネットに接続していないと利用できないこと、大容量ファイルの転送(アップロード)に時間がかかることなどが挙げられます。
3.システムバックアップの方法
システムバックアップを行う方法には、大きく分けて「パソコンのOSに標準搭載されている機能を使う」「バックアップソフトを使う」の2つがあります。これらの方法では、バックアップを自動化すること可能です。
3-1.OS標準の機能を使う
3-1-1.Windows 8および8.1の場合
Windows 8.1では、「ファイルの復元」や「Windows 7のファイル回復」の機能がなくなっており、システムイメージのバックアップ機能のみになっています。これはおそらく、マイクロソフトのクラウドストレージサービスである「OneDrive」上にファイルやフォルダを保存する機能が搭載されたためと思われます。
システムイメージのバックアップ機能は、コントロールパネルの「ファイルの履歴」から行います。コントロールパネルの「システムとセキュリティ」にある「ファイル履歴でファイルのバックアップコピーを保存」をクリックします。
なおWindows 8.1は、ここで「ファイル履歴」を「オンにする」をクリックすると、ドキュメント、ミュージック、ピクチャ、ビデオ、デスクトップの各フォルダーに保存されているファイルや、PC 上でオフラインで利用できる OneDrive ファイルをバックアップできます。ただし、ファイルやフォルダを個別に設定することはできません。Windows 8では、個別設定が可能な「バックアップの設定」が行えます。
コントロールパネルの左下にある「システムイメージのバックアップ」をクリックすると、「システムイメージの作成」ウィンドウが開くので、システムイメージの保存場所を選びます。
「次へ」をクリックすると、バックアップに含めるドライブの確認画面が表示されます。ここではバックアップに必要な容量と、保存先のドライブの空き容量を確認しましょう。さらに「次へ」をクリックするとバックアップ設定の確認画面が表示されるので、「バックアップの開始」をクリックしてバックアップを作成します。
3-1-2.Windows 7の場合
Windows 7でシステムイメージをバックアップするには、コントロールパネルの「システムとセキュリティ」にある「バックアップコピーの作成」をクリックします。「ファイルのバックアップまたは復元」画面が開くので、画面の左上にある「システムイメージの作成」をクリックします。以降の手順は、Windows 8および8.1と同じです。
3-2.Macの場合
Macには、あらゆるバックアップが可能な「Time Machine」がOSに標準搭載されています。使い方は非常に簡単で、Mac対応の外付けハードディスクをMacに接続することで「Time Machine」が自動的に起動し、バックアップを開始できます。Mac非対応、あるいはMac用にフォーマット可能なハードディスクを接続したときは、「システム環境設定」から「Time Machine」を起動します。
「Time Machine」を起動し、画面の左側にあるボタンを「入」にすると、バックアップ先のディスクを選択する画面が表示されます。ここでハードディスクを選択すれば、バックアップが開始されます。Mac用でないハードディスクの場合は、すでに記録されているデータを消去するかどうかの確認画面が表示されます。
3-3.Linuxの場合
Linuxでのバックアップには複数の方法がありますが、たとえばUbuntu LinuxにはMacと同じような「バックアップツール」が標準で搭載されています。このツールでは、まずバックアップ先となるメディアをパソコンに接続し、デスクトップの「ランチャー」にある「システム設定」から「バックアップ」をクリックします。
バックアップツールの画面から、「バックアップ設定を表示のみ」の項目を表示します。「概要」ではバックアップ設定そのものを行い、「記憶装置」タブでは保存先の設定、「フォルダー」タブではバックアップしたいファイルの設定、「スケジュール」タブではバックアップするスケジュールを設定します。これによりバックアップが実行されるようになります。
Linuxで一般的に使用されるのは、「dump」コマンドによってシステムを丸ごとバックアップする方法です。Linuxのディストリビューションによっては「dump」コマンドが標準インストールされていないので、その場合はパッケージをインストールしましょう。設定はコマンドラインで行います。
3-4.バックアップソフトを使う
OS標準のバックアップ機能では、十分な設定やバックアップメニューがないという方には、市販のバックアップソフトを導入することをおすすめします。ほとんどがバックアップのための専用ソフトなので信頼性が高く、スケジュールなどの詳細な設定が可能になっています。
無償のフリーソフトもありますが、万一ソフトの不具合でバックアップデータが消えてしまったとき、フリーソフトでは補償されないことがほとんどです。有償のソフトであればサポート体制もしっかりしているので、トラブルの際の解決法などを容易に入手できます。
ここでは、市販の有償バックアップソフトから、人気の高い製品をいくつか紹介します。
・HD革命/BackUp NEXT(アーク情報システム)
簡単な操作で使用できる純国産のバックアップ・復元ソフト
http://www1.ark-info-sys.co.jp/products/hdbknext/index.html
・ファイナル丸ごとバックアップ plus(AOSテクノロジーズ)
丸ごとバックアップ、復元に特化したバックアップソフト
http://backup119.jp/backup119.html
・Acronis True Image 2015 for PC(アクロニス・ジャパン)
簡単な操作でバックアップから復元までを行えるバックアップソフト
http://www.acronis.com/ja-jp/personal/pc-backup/
4.最後に
パソコンは、自分で必要なソフトをいろいろとインストールしていくことで、より自分が使いやすいようにカスタマイズされた、まさに「パーソナル・コンピューター」になっていきます。そのため、故障などで使えなくなってしまった場合のダメージは計り知れません。万一のときにも元に戻せるように、日頃からバックアップを心がけましょう。また、可能であれば複数のバックアップ手段を講じることをおすすめします。