
際限なく送られてくるスパムメールにうんざりしているなら、この機会に本格的な対策をしてみませんか。2回ある対策のタイミングで適切な処理をすることで、スパムメールが大量に届くイライラはかなり改善されるはずです。
この記事ではパソコンを中心にスパムメール対策を解説していきます。メーラー型としてWindows Liveメール、WEBメール型としてGmailを例として、スパム対策の流れを解説します。他のサービスでも基本は変わりませんし、特別な知識やテクニックはもちろん不要ですので、じっくりチャレンジしてみてください。
1.スパムメール対策の基本ルール
1-1.拒否のチャンスは2回
スパムメールは、「送信者→自分のメールサーバーが受信」と「自分のメールサーバー→自分の端末が受信」の2回、処理できるタイミングがあります。
1-1-1.サーバーで処理する
すべてのe-mailは、送信者から送信されたメールが受信者のメールサーバーに着信し、受信者が自分のメールサーバーからそのメールをダウンロードまたはアクセスすることで、パソコンや携帯などの端末で開けるようになります。サーバー受信時点でより分けてしまうことで、ユーザーの目にふれる前にスパムメール排除が可能です。
利用しているサービスにより、サーバーでのスパム対策は異なりますが、Niftyなどのインターネット事業者やGmailがサーバ側でのスパム対策を行っています。また、スマートフォンを含む携帯電話のキャリアメール(@docomo.ne.jpなど)の迷惑メール対策は、現在この方法がメインです。
1-1-2.ユーザー側で処理する
サーバー受信時点で対処できないスパムメールがある場合、自分のパソコンなどに受信したタイミングでスパムメールを選別して排除できます。利用しているサービスによっては、こちらがメインとなることもあります。
また、セキュリティソフトに付随するアンチスパムオプションを使用する手段もあります。
1-2.パソコン・携帯に共通するスパム対策のフィルタリング設定
スパムメールのフィルタリング設定には、いくつかの基本パターンがあり、これらを単独で、あるいは組み合わせてサーバー側、端末側で運用することになります。端末を問わず、いろいろなe-mailに共通する基本の考え方なので、以下の3パターンを知っておきましょう。
1-2-1.自動処理
メールの内容から判断して、スパムメールの可能性が高いと思われるものを、自動的に処理します。使用しているサービスによっては、ユーザー全員でスパムメールの特徴を共有できるため、大量に送信されるものほど自動的にスパム扱いされます。
ただし欠点として、スパムではないメールがスパム扱いされたり、不要なメールがスパムとして処理されないケースも発生します。そのため、指定受信や指定拒否と組み合わせることで、より精度がアップします。
1-2-2.指定受信
指定したアドレス、ドメイン(@より後ろの部分)のメールを受信します。受信したいメールがスパム判定されてしまう場合、この設定で受信できるようにします。
1-2-3.指定拒否
指定したアドレス、ドメイン(@より後ろの部分)のメールを拒否します。不要なメールがスパム処理されない場合、手動で受信しないように設定できます。
2.メールソフトのスパム対策
パソコンのメーラー(メールを送受信するソフト)を使っている場合、使っているメールのサービスによってサーバー側のスパム対策はまちまちです。またメールのサービスは非常に多くの種類があるため、数種類しかない携帯キャリアとはちがい、それぞれを個別で解説することは大変です。よってここでは、サーバーをすり抜けてくるスパムに対し、ソフト側の設定でスパム対策をしていくケースを想定し、多くのWindowsパソコンに初期搭載されている、「Windows Liveメール」のスパム対策を解説します。
2-1.迷惑メールフィルタの設定
受信するすべてのメールにフィルタをかけて、スパムと判断されるものを迷惑メールフォルダに隔離します。フィルタは学習機能を備えているので、使うほどに判別精度が上がっていきます。
- Windows Liveメールを起動し、左上のメニューボタンをクリック、【オプション】→【セキュリティのオプション】へ。
- 【オプション】タブを選び、迷惑メールの処理レベルを変更して【OK】をクリックします。
- 4段階の処理レベルを選択できます。
【自動処理なし】 受信拒否リストに登録されているメールを、迷惑メールフォルダに隔離します。フィルタは使いません。
【低】 明らかな迷惑メールのみ処理。迷惑メールがそのまま届くことも多いですが、問題のないメールが迷惑メール扱いされることも少ない設定です。
【高】 迷惑メールの疑いがあるものを、積極的にフィルタリングします。低より迷惑メールが届かなくなりますが、かわりに問題のないメールが迷惑メール判定を受けるケースも増えます。
【セーフリストのみ】 「差出人セーフリスト」に登録されたメールのみ受信する設定です。
2-2.メールの受信や拒否を手動設定する
受信ボックスや迷惑メール内のメール本文の件名を右クリック、【迷惑メール】の上にカーソルを置くと、迷惑メール処理のメニューを実行できます。
●差出人を[差出人をセーフリスト]に追加
そのメールの差出人は、以後迷惑メール処理されなくなります。
●差出人のドメインを[差出人セーフ リスト]に追加
そのメールのドメインは、以後迷惑メール処理されなくなります。
この処理は「4-2-1.迷惑メールフィルタを設定する」の、フィルタレベル【高】との組み合わせがオススメです。
●差出人を[受信拒否リスト]に追加
そのメールの差出人は、以後迷惑メールとして処理されます。
●差出人のドメインを[受信拒否リスト]に追加
そのメールのドメインは、以後迷惑メールとして処理されます。
この処理は「4-2-1.迷惑メールフィルタを設定する」の、フィルタレベル【低】と相性が良いです。
●迷惑メールとして処理
そのメールをワンクリックで迷惑メールフォルダに隔離します。ただし受信拒否リストには登録されません。
2-3.重要な送信先はセーフリストに
迷惑メールフィルタの【高】は高い確率で迷惑メールを隔離しますが、かわりに問題ないメールまでもスパム扱いしてしまう懸念があります。こういう場合、差出人セーフリストを利用しましょう。あらかじめリストに登録しておくことで、重要なメールがスパム処理されなくなります。
- 左上のメニューボタンをクリック、【オプション】→【セキュリティのオプション】へ。
- 【差出人セーフリスト】タブをクリックし、リストにメールアドレスを追加。
3.WEBメールのスパム対策
Internet Explorer、Google Chromeなど、WEBブラウザで個人ページにログインして、メールを送受信するサービスを利用している場合のスパム対策を解説します。WEBメールの場合、ユーザーはサービス側のサイトにログインしてそのままメールを送受信するので、サーバー側・端末側での迷惑メール処理は一体になっています。
3-1.WEBメールの多くは自動処理が充実
Gmail、Yahoo!メールなど大手サービスは、利用者間でスパム情報が共有されるため、特別な設定をしなくても、強力なフィルタリングがサーバー側で自動的に行われます。そのため、この自動処理を補うユーザー側での指定受信、指定拒否がメインのスパム対策となります。
ここでは全世界で5億人以上のユーザーがいる、Gmailのスパム対策を解説していきます。
3-2.Gmailのスパムメール指定
- メールタイトル上の【!】(迷惑メールを報告)をクリック。
- 迷惑メールとして登録されます。
3-3.Gmailのスパムメール解除
- メールタイトル上の【迷惑メールではない】ボタンをクリック。
- 迷惑メールではない通常のメールとして登録されます。
3-4.フィルタリング設定を使いこなす
フィルタリングの設定を使うことで、さらに細かくメール受信をコントロールすることができます。
- 右上のギアアイコンをクリックし、【設定】へ。
- 【フィルタ】タブを選び、【新しいフィルタを作成】をクリック。
まず、対象となる受信メールの条件を指定します。
- [From] 送信者を指定します。
- [To] 送信先を指定します。自分へのメールを対象にするなら、自分のアドレスを入力します。
- [件名] 入力された文字列を含むタイトルのメールが対象になります。
- [含む] 本文中にここで指定した文字が含まれているメールが対象になります。
- [含まない] 本文中にここで指定した文字が含まれていないメールが対象になります。
- [添付ファイルあり] 添付されているファイルがあるメールが対象になります。
- [チャットは除外する] チャットを除外します。
- [サイズ] メールのファイルサイズでフィルタリングします。
次に、指定した条件の受信メールに対する処理を決めます。スパム対策に関連する設定に絞り込んで解説します。
- [削除する] 受信と同時にゴミ箱に送られます。
- [迷惑メールにしない] 対象のメールは今後いかなるときも迷惑メールになりません。
- [一致するメッセージにもフィルタを適用する] すでに受信しているメールに対しても、同じ処理をします。大量に受信してしまっている不要なメールを、一括削除する場合などに使います。
4.ゾンビコンピュータ化の対策
4-1.スパム送信の多くは操られたパソコンから
もっとも多かった2008~2010年ごろよりは減ったものの、いまだ世界中で膨大な数のスパムメールが送信されています。またメール全体の半分以上がいまだにスパムです。
ここまでスパムが多い理由のひとつに、ゾンビパソコンの存在があげられます。多くのスパムメールは、ウイルスに感染し操られている状態のパソコンから送信されていますが、こういったパソコンをゾンビコンピュータと呼びます。ゾンビ化したパソコン同士は自動的にネットワークを構築し、延々と迷惑メールを送信し続けます。1台のゾンビPCで1分間に1000通以上、1日で100万通以上のスパム送信を行うケースもあります。
4-2.ゾンビ化対策はセキュリティソフトが効果的
現在はインターネット常時接続と高速回線が一般化しており、なおかつパソコンの処理能力が向上しているため、挙動からパソコンがゾンビ化していることを見抜きにくくなっています(メール送信はさほどの回線速度や処理能力を要しません)。だからこそ、自分が知らないうちにスパムメール送信の加害者にならないよう、パソコンのウイルス感染を防止するセキュリティソフトを導入することをオススメします。
5.スマホ、携帯のスパム対策
@docomo、@ezweb、@softbankといったキャリアメールのスパム対策は、メールサーバーでの実行がメインで、各携帯事業者の会員サイトにアクセスして行います。基本はここまで解説してきたパソコンメールの対策と同じですが、携帯ならではの設定として「パソコンからのメールをすべて拒否する」があります。ほとんどのスパムはパソコンから送信されていますので、この設定だけで大半のスパムは届かなくなります。しかし問題のないパソコンからのメールも拒否してしまいますので、「指定受信」を組み合わせることで対応できます。
詳細は迷惑メール断固拒否!携帯3キャリア&PCの簡単設定法にて解説しています。
6.まとめ
パソコンを中心にスパム対策を解説してきましたが、事前にフィルタを作ってスパムメールを排除する対策のイメージはわきましたか? 残念ながらスパムメールは今すぐになくなりませんので、効率的に対策して快適にメールを使用できる環境を目指してください。そして、いつの間にか自分が加害者にならないよう、ウイルス対策ソフトの導入も検討してください。